一般皮膚科
一般皮膚科
「皮膚は内臓を映す鏡」と言われており、皮膚には皮膚疾患だけでなく、内臓疾患などの部分的な症状も皮膚症状として現れます。皮膚科は皮膚症状を通して内臓や血行、ホルモンバランスなど体内状態もみる診療科といえます。皮膚には実に多くの症状があります。原因も様々で外的因子、内的因子、加齢など極めて多様です。当院では患者さんの立場にたった医療の実践や質の高い診断を第一とした最善の治療をめざしております。皮膚疾患の検査によって、思わぬ内科的疾患が見つかる場合もありますので、皮膚の異常がみられましたら、お早めにご相談ください。
このような症状の方はご相談ください。
小児からご年配の方まで皮膚疾患を幅広く診療しています。皮膚の異常や気になる症状がある際は、何でもお気軽にご相談ください。
皮膚科の診療でとても多く見られる症状です。かゆみや赤み、かさつきなどが生じます。ひどい場合は、水ぶくれなどができ、皮がむけることもあります。原因としては、洗剤や石鹸、汗や髪の毛など様々な外的な刺激によるものが多いですが、自己免疫や食物アレルギー、ダニ、ハウスダスト、薬疹、ウイルスなどもあります。湿疹・かぶれなどはかゆみを伴うことが多く、つい掻いてしまいがちです。しかし、掻くことで患部をかき壊してしまい化膿や悪化を招き、さらに患部が広がりかゆみがひどくなることも少なくありません。治療はステロイド外用薬や保湿剤を使用します。かゆみがひどい場合は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬でかゆみを軽減します。湿疹が外的要因で生じる場合、その原因物質に触れないようにすることも大切です。
じんましんは皮膚の一部が突然くっきりと赤く盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡形もなくかゆみと皮疹が消えるという特徴があります。たいていかゆみを伴いますが、チクチクとした感じや焼けるような感じになることもあります。発症して6週間以内を「急性じんましん」、それ以上経過した場合を「慢性じんましん」と呼びます。アレルギーが原因であれば、原因アレルゲンや刺激を回避します。仕事や勉強などのストレスや不規則な生活も原因となり得ます。薬物治療は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの飲み薬や塗り薬が中心となります。難治性の慢性蕁麻疹には、生物学的製剤(ゾレアなど)による治療を選択することもできます。
原因としては、皮膚のバリア機能の低下、アトピー素因(アレルギー体質)、心理的要因の3つが重なって起きると考えられています。全身のあらゆる場所に、かゆみを伴う湿疹が繰り返し起こります。左右対称で、慢性の湿疹と皮膚の乾燥が生じるのが特徴であり、かき壊しが続くと湿疹が拡大し、状態がひどくなります。花粉症や食物アレルギーとは異なり、アレルゲンがあるから発症するわけではありません。皮膚の弱い体質、皮膚のバリア機構が不十分な人に発症することが多い病気で、ダニや食物アレルギーを伴いやすい特徴があります。治療は、バリアの機能を補うためのスキンケア、皮膚の炎症を抑えるためのステロイド外用薬や非ステロイド外用薬、かゆみを軽減させる抗ヒスタミン薬内服を行いながら、かゆみを悪化させないための環境整備や対策が基本となります。とくに乾燥する秋から冬は、たっぷり保湿をするようにしましょう。また、ストレスや疲労をきっかけに悪化することが知られていますので、これらをため込まないように注意しましょう。適切なスキンケアや外用薬、抗ヒスタミン薬の使用、生活習慣・環境の見直しを行っても、コントロールが困難な場合は、生物学的製剤(デュピクセント、イブグリース、ミチーガなど)やサイバインコなどのJAK阻害剤を用いることで、高い治療効果が得られることも期待できます。
にきびは多くの人が経験するとても身近な皮膚疾患です。とくに思春期にできることが多く、気にする方も少なくありません。にきびの直接的な原因は、皮脂の過剰な分泌と毛穴の詰まりです。過剰に分泌された皮脂が毛穴にたまり、面皰(めんぽう)という状態になります。この毛穴にたまった皮脂を栄養源にして、にきびの元となる菌が増殖して症状を悪化させます。大人のにきびは、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足、紫外線、ストレスや生活環境など、様々な要因が複雑に絡み合ってできることが多く、治りにくい特徴があります。治療は、にきびの種類と重症度を判断し、外用薬、内服薬(抗生物質、ビタミン剤、漢方薬など)を使用します。適切な治療を行わず放置してしまうと、毛包の組織が破壊され「にきび跡」になる場合があるので注意が必要です。以前は軽いうちはスキンケアで対応し、症状がひどくなったら医療機関にかかるケースが一般的でしたが、近年は治療法が進み、早期の症状から医療機関で治療できるようになっています。にきび症状でお悩みの際は、放置せずにご相談ください。
水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が足の皮膚に入り込んで発症する病気です。白癬菌が増殖しやすい夏に症状の悪化がみられます。足白癬は趾間(しかん:指の間)型、小水疱(しょうすいほう:水ぶくれ)型、角質増殖型のタイプに分類されます。趾間型は、足指の間の皮膚がふやけたように白く濁り、じくじく、かさかさ、赤み、水ぶくれなどが生じます。小水疱型は、土踏まずや足指に水ぶくれや細かい皮むけが生じます。角質増殖型は、踵(かかと)を中心に足裏の皮膚が厚くなり、ひび割れたり、粉をふいたりした状態になります。冬に乾燥やひび割れを起こしやすくなります。これらのタイプが混在することもありますし、かゆみがないこともあります。治療は顕微鏡を用いて、足の皮膚に寄生する白癬菌を確認したのちに、病態に応じて塗り薬や内服薬を使用します。
水虫を放置すると爪に白癬菌が寄生することがあります。爪の症状で一番多いのは爪が白~黄色に濁って、やがて厚くなることです。そしてその爪の下がボロボロと弱くなってくるのも大きな特徴です。爪白癬は爪の先端から始まり、徐々に根元のほうに進んでくることが多いです。通常は見た目だけの問題ですが、爪が分厚くなると、靴にあたって痛くなったり、歩きにくくなったりすることもあります。特に糖尿病があると爪やその周辺に細菌感染が起こりやすく、重篤な蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの細菌感染症に発展する例も見られます。また爪が浮くと足の筋力が足先に伝わりにくい、バランスが悪くなりこけやすくなる、手の爪では細かい作業をしにくくなるという問題もあります。また、分厚くなると自分で爪が切れない、人にも切ってもらえない、人前に手を出すのがためらわれる、など生活の質(QOL)も低下することが知られています。そして何よりも白癬菌の供給源ですので、しっかり治療をしましょう。治療には、外用剤で治療する方法もありますが、抗真菌剤の内服が必要となることが多いです。
皮膚は皮脂腺から毛穴を通じて皮脂が分泌されています。皮脂の分泌が多くなると、紫外線やカビ(マラセチア菌)などによって皮脂が脂肪酸に分解され、皮膚が炎症を起こすことがあります。特に、頭皮や髪の生え際、眉間・眉毛、鼻のわき、耳の中・後ろなどの皮脂分泌が多い場所にできやすいです。悪化させる原因としては、入浴不足や洗顔不足による皮脂貯留、ストレス、ホルモンバランスの崩れ、睡眠不足などの生活サイクルの乱れ、ビタミンB不足など、栄養バランスのかたよりなどが考えられます。そのため、治療は薬物療法と生活習慣の改善を行います。薬物治療には、炎症を抑えるステロイドの外用薬、カビの増殖を抑える抗真菌剤の外用薬を用いて、ビタミンBの内服やかゆみを抑える抗ヒスタミン薬の内服を行います。生活習慣としては、不規則な生活は避け、規則正しい生活を送るようにこころがけ、また適度な休養や気分転換で、ストレスを発散させましょう。偏った食生活、暴飲暴食は避け、ビタミン類を含め、バランスの取れた食事をとりましょう。動物性脂肪はなるべく避けたほうが良いでしょう。また、アルコールやタバコも症状を悪化させます。できる限り控えるようにしましょう。
いぼは皮膚から盛り上がっている小さなできもので、ヒトパピローマウイルスの感染によって発症します。ウイルス性疣贅(ゆうぜい)と呼ばれています。いぼのウイルスは傷などから皮膚に入り、皮膚の深層の細胞に感染して、周囲の正常細胞を押しのけて増殖し続けます。痛みやかゆみは伴いませんが、放置するとさらに増えたり、人にうつしたりすることがあります。小児からご年配の方まで男女を問わずみられます。いぼができ、掻いて治そうとするとかえってウイルスを拡散してしまう可能性があります。いぼを見つけたときは、数が少ないうちにご相談ください。いぼの治療は、液体窒素による冷凍凝固療法が一般的ですが、塗り薬、貼り薬、漢方を併用するなどご本人に適しているものを選んで行います。
足の皮膚の一部分に慢性的な圧迫などの刺激が加わり発症します。たこは皮膚の表面の角質が部分的に厚くなるもので多くは痛みはありませんが、痛みや赤みを伴う場合は、細菌感染を起こしている可能性がありますので、早めに皮膚科を受診してください。うおのめは厚くなった部分にさらに刺激を受けて硬く、芯を持つようになってきます。歩く度に刺激され痛みが生じます。治療はメスなどで削る角質除去法があります。
単純ヘルペスウイルスに感染することで発症します。口の周りや口内に小さな水ぶくれや傷ができる1型と、外陰部やでん部など下半身に発症する2型の2種類のウイルスがあります。初めて感染したときは、人によってひどい症状が出現することがあります。口内に小さな深い傷ができ痛みで水分がとれなかったり、高熱や歯ぐきが赤く腫れて出血したりすることもあります。治療は抗ウイルス薬を使用します。水ぶくれが出る前にチクチクするといった予兆があることが多く、その時点で薬物療法を始めると治りが早まります。単純ヘルペスウイルスは神経節に入って潜伏するため、薬で完全に取り除くことができません。そのため寝不足、疲労、かぜなどで免疫力が低下すると再発することがあります。
通常、単純ヘルペス感染症の治療は、5日間の内服療法が必要ですが、何度も再発を繰り返す方は、PIT(Patient Initiated Therapy)療法といって手持ちに抗ウィルス薬を常備しておき、予兆を感じた際に1回内服もしくは2回内服するだけ(薬剤によって回数が異なります)で症状をコントロールできる治療法もあります。頻回に再発するヘルペスにお困りの方はご相談ください。
水痘(みずぼうそう)と同じウイルスによって発症する病気です。疲労、ストレス、睡眠不足、かぜなどえ免疫力が低下すると、体に潜伏感染していたウィルスが活性化し発症します。体の左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い斑点と水ぶくれが多数集まり帯状に出現します。上半身に現れることが多く、顔面、目の周囲にみられることもあります。ピリピリと刺すような痛みが生じ、夜も眠れないほど激しい場合もあります。顔に生じた場合、目の障害や顔面神経麻痺、内耳障害によるめまい・耳鳴りなどが起こることがまれにあります。神経の損傷によってその後も痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」という合併症が残ることが多く、神経の損傷が改善するのに数ヶ月〜数年かかることがあります。そのため、 帯状疱疹はできるだけ早く皮膚科を受診し、早期に治療することが非常に大切です。早期治療により、「帯状疱疹後神経痛」の発症を低減することが期待できます。
また、50歳以上の方は帯状疱疹の発症リスクが高くなるため、ワクチンでの予防も有効です。当院では、2種類(ビケン、シングリックス)のワクチンを常備しており、予約無しで当日接種が可能です。ご希望の方はご相談ください。
足の形や歩き方、爪の切りすぎなどの不適切な爪の切り方などが原因となって巻き爪は発症します。巻き爪が進行すると陥入爪となり、爪がくい込んでできた傷や細菌感染を起こすことにより、強い痛みを伴うようになります。陥入爪の治療には、テーピング法や爪の矯正手術などを行い、また重症の場合はくい込んだ爪の一部をフェノール法で抜爪することで痛みを改善することが可能です。
銀白色の鱗屑(りんせつ:皮膚の粉)を伴い、境界の明瞭な盛り上がった紅斑(赤い斑点)が全身に出現する病気です。乾癬(かんせん)の多くが、この症状であり、尋常性乾癬と呼ばれています。大きさや数、形は様々で、皮疹が癒合し大きな病変となることもあります。爪の変形や関節炎を伴うこともあります。刺激を受けやすい部位にできやすく、頭部、ひじ、ひざ、でん部、下腿などに多く認められます。かゆみは半数程度の方にみられますが、内臓に障害を及ぼすことはありません。乾癬は慢性で軽快と悪化を繰り返します。治療は、ステロイドやビタミンD3の外用薬、紫外線照射などで行いますが、重症の場合や関節炎などが合併した場合は、内服薬や生物学的製剤による治療も必要となることがあります。当院は生物学的製剤承認施設であり、重症乾癬や関節炎を合併した乾癬に対して、生物学的製剤(トルツ、コセンティクスなど)による加療を行っています。
何らかのきっかけによって本来、細菌やウイルスなどの病原体を壊そうとする働き(免疫)が自分自身の身体に向いてしまい機能が損なわれる病気を自己免疫疾患と呼びます。円形脱毛症も自己免疫疾患の一つであり、一部のリンパ球が毛包の組織を壊そうとする自己免疫反応が起き、その影響で毛が抜けてしまう病気です。
発症の原因として、何らかの精神的なストレスがあった後に脱毛がはじまる患者さんもいらっしゃいます。しかし、多くの方ではストレスと直接的な関係なく症状がはじまっています。精神的なストレスは原因というよりも、むしろ「きっかけ」つまり誘因のひとつとなりうるものであろうと考えられています。患者さんの1/4は15歳以下で発症し、ストレスがあまりないはずの乳児、幼児にも重症の方がおられます。円形脱毛症の症状が出るのは一生に一度だけのこともあれば何度も再発する場合もあります。兄弟姉妹、親子で発症することも珍しくありません。つまり円形脱毛症を発症しやすい遺伝的な体質を持っている場合があります。多くの患者さんの遺伝的な背景を調べたところ、円形脱毛症になりやすい素因がありそうだということが最近わかってきています。また、アトピーの素因、甲状腺の病気や膠原病との関連もあるといわれています。その他、精神的なストレス以外で発症のきっかけとなり得るものとして、ウイルス感染症や肉体的疲労、出産なども考えられています。何度も円形脱毛症を繰り返す方は、疑わしい「きっかけ」を少なくすることが再発予防につながる場合もあるでしょう。
脱毛症状は頭部に1個、円状にでることもあれば、頭部に多発したり、眉毛や睫毛、髭のみ、体毛のみに生じるなど、身体のどの部分にも起きる可能性があります。さらに、症状がおもい場合には、頭全体、あるいは全身の全ての毛が抜け落ちる場合もあります。
小さな脱毛斑が自然に改善してしまう方も多くおられると思いますが、何度も再発したり徐々に多発、拡大したりするような場合には早めに受診してください。
治療法として、当院ではステロイド外用療法、ステロイド局所注射、紫外線療法、カルプロニウム塩化物外用液、セファランチンの内服などを早期から行い、脱毛の進行を抑え、発毛を促し、再発予防を行っております。また、重症の方で治療効果が出にくい方には、リットフーロ(12歳以上の方のみ)などのJAK阻害剤による加療を行っており、効果が出ておられる患者様も多くいらっしゃいます。脱毛症でお困りの方はご相談ください。
傷が治癒する過程において傷を埋める組織が過剰に増殖し、しこりのようになったものがケロイド、および肥厚性瘢痕です。ケロイドと肥厚性瘢痕を線引きする明確な診断基準はありませんが、一般に、ゆっくりではありながらも進行を続けて傷の範囲を超えて周囲に拡大するタイプをケロイド、組織の増殖が一時的で、傷の範囲内に限られるタイプを肥厚性瘢痕と呼びます。ケロイドは、胸の真ん中辺りや肩、上腕の外側、背中の上部、下腹有毛部(帝王切開後)などの、比較的皮膚の緊張が強い部位に発生しやすい傾向があります。手術やけがの痕のほか、にきび痕や本人が気づかないような小さな傷からも発生することもあります。表面に光沢のあるやや赤いしこりで、端の部分はなだらかに盛り上がり、周囲の皮膚は赤みを帯びています。治療としては、外科的治療、薬物治療、および圧迫療法などがあります。
皮膚に生じたできもののことを皮膚腫瘍と言います。腫瘍とは組織の一部が病的に変化し、増殖したものです。腫瘍は良性と悪性に大きく分けられ、良性腫瘍は一般に増殖が緩やかで生命をおびやかすようなことはありません。一方の悪性腫瘍(がん)は近くの組織に進入したり、遠隔転移して増え続けていき、生命にも影響してきます。一見、ほくろやしみなどと紛らわしい皮膚がん(悪性黒色腫など)もありますので、皮膚に気になる変化が生じましたら、早めに皮膚科専門医にご相談ください。